男性が後ろ手で手錠をかけられている写真

はじめに

人に怪我を負わせたことが警察に発覚すると、逮捕される場合があります。逮捕された後に、長期間の拘束である「勾留」がなされると、短くても10日間は警察署の留置施設から出ることはできません。
勾留の期間はいったいどれぐらい続くのでしょうか? 傷害事件の場合は、数か月に及ぶことが少なくありません。ここでは、法律の規定と統計データに基づいて、弁護士が勾留の期間について解説します。

勾留は避けられないこと

人に怪我を負わせて傷害で警察に捕まった場合、「勾留」と呼ばれる身体の拘束はほぼ避けられません。それは、検察庁が公表している統計からも明らかです。図1の円グラフは、2017年の傷害被疑事件の勾留率を示すものです。10639件のうち533件しか勾留請求が却下されていません。つまり、勾留率は95%ですので、ほぼ勾留が避けられないことがわかります。

傷害被疑事件の勾留率を示す円グラフ

図1傷害被疑事件の勾留率(2017年検察統計17-00-41より)

起訴される前の勾留期間

では、本題の勾留期間に話題を移します。勾留には、起訴される前の勾留(起訴前勾留、被疑者勾留といいます)と起訴された後の勾留(起訴後勾留、被告人勾留といいます)があります。

まず、起訴前勾留について説明します。起訴前勾留は、刑事訴訟法という法律で、最大20日と定めています(刑事訴訟法208条)。図2の円グラフは、2017年の傷害被疑事件の起訴前勾留を期間別で示したものです。勾留期間が5日以内が4%、10日以内が38%、15日以内7%、20日以内51%です。16日〜20日が約51%で半数を占めていることがわかります。

図2傷害被疑事件の勾留期間の期間別割合を示す円グラフ

図2 傷害被疑事件の勾留期間の期間別割合(2017年検察統計17-00-42)

起訴された後の勾留期間

次に、起訴された後の勾留について説明します。起訴後勾留の期間は2か月です(刑事訴訟法60条2項)。ただし、更新によって1か月延長できます。傷害被告事件の場合は、この更新の回数は無制限です。したがって、半年や1年以上勾留されることもあり得ます。

もっとも、傷害について素直に認めている場合には、更新されずに2か月で判決が出ることは少なくありません。図3は、2017年の傷害被告事件における起訴後勾留の期間別の円グラフです。15日以内15%、1か月以内7%、2か月以内33%、3か月以内20%、6か月以内14%、1年以内9%、1年を超えるものが2%です。このように、2か月以内(つまり、更新なし)で合計55%になります。なお、1か月以内が合計22%あるのは、その多くは保釈によって釈放された場合と考えられ、傷害被告事件では保釈が認められにくいといえます。その理由は加害者と被害者が面識があり、被害者に接触するおそれを考慮しているのでしょう。

図3傷害被告事件の勾留期間の期間別割合の円グラフ

図3 傷害被告事件の勾留期間の期間別割合(2017年司法統計32より)

まとめ

以上の説明をまとめると、次のようになります。多くの場合、起訴前勾留の期間は10日から20日で、起訴後勾留は保釈されない限り、2か月から3か月になります。判決までいく傷害被告事件は、全体としては勾留期間は3か月から4か月以内となります。