このページでは、ご家族が他人にケガを負わせた傷害事件で警察に逮捕された方に向けて、傷害事件の特徴、逮捕から判決までの流れ、弁護士ができること、被害者との示談、弁護士費用などをご説明したいと思います。

1 傷害事件の特徴

傷害事件の特徴として、次の3つがあります。

  1. 窃盗に続いて、2番目に発生数が多い犯罪です。
  2. 勾留される割合は85%と高く、勾留期間も最大20日になる割合は約51%です。
  3. 勾留されても、不起訴になる割合は58%と高いです。不起訴になるために重要なのは、被害者と示談することです。

2 逮捕から判決までの流れ

すでに説明しましたように、傷害事件の半数以上は、正式な裁判にかけられません。しかし、念のために、逮捕から判決までの流れと、それぞれの段階で弁護士ができることについて説明します。なお、ここでは、人にケガをさせたことに間違いなく、正当防衛などの事情がないケースを前提として説明します。

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逮捕
逮捕されると、最大で72時間(つまり3日間)外に出ることはできません。警察が事件の捜査のために、もっと長時間捕まえておく必要があると判断すると、48時間以内に本人は、検察官に送られます(これを「送検」といいます)。検察官も同じ判断をしたら、検察官は、裁判所に対して、「勾留」(逮捕より長期間捕まえておくこと)を求めます(これを「勾留請求」といいます)。
すでに説明しましたように、逮捕されるとほとんどのケースで、次の「勾留」に進みます。逮捕中は、家族であっても本人には会えません。会えるのは弁護士だけです。逮捕中に弁護士がすることは、まず本人と面会し、人にケガをさせたことに間違いがないか、ケガをさせた経緯、被害者に謝罪するつもりがあるかどうか、被害者と示談するかどうかなどを確認します。謝罪するつもりであれば、本人に謝罪文を書き始めてもらいます。
勾留
勾留されると、通常10日から20日の間、本人は外にでることはできません。この勾留の間に、検察官は、本人をどのような処分にすべきか決めます。すでに説明したように、傷害事件の半数以上は不起訴になります。
不起訴を目指して、被害者との示談交渉を行います。なお、不起訴になると前科はつきません。示談交渉は、(1)被害者と連絡をとり、直接会って、(2)本人の謝罪文、治療費や慰謝料を渡して、(3)示談書を作成し、(4)検察官に示談書を示す、という流れになります。多くの被害者は、弁護士でなければ示談交渉に応じてくれません。
起訴
検察官が「公判請求」(「起訴」ともいいます)すると、約1か月から1か月半後に、公開の法廷で裁判(「公判」といいます)を受けることになります。本人の勾留は続きますので、外には出ることはできません。
起訴されたら、弁護人は公判の準備を行います。また、裁判所に対して、釈放を求めて「保釈請求」をすることも弁護人の大切な活動です。保釈が認められるためには、150万から200万円程度の「保釈保証金」が必要になります。ただ、本人やご家族に保釈保証金を自前で用意できない場合もあると思います。そのような場合であっても、他に手段はあるのでご安心ください。
初犯の場合、保釈が認められる割合は高いです。ただし、被害者の住所や連絡先を本人が知っている場合には、保釈は認められにくくなります。なぜなら、本人を外に出したら、被害者を脅したり報復したりするのではないかと裁判官が心配するからです。そうは言っても、保釈を諦めるべきではありません。私たち弁護士が、保釈を認められるように、一所懸命に裁判官を説得します。
公判
公判では、まず検察官が、本人が被害者をケガさせたことや、本人の悪いところを証拠に基いて立証します。次に、弁護人が、本人が深く反省していること、示談が成立していることや、本人の更生を家族や周りの人間が支えていくことなど本人に有利な事情を証拠に基いて示していきます。
弁護人は、できるだけ軽い判決になるように、裁判所に対してアピールをしていきます。例えば、本人の刑務所行きを避けるために「執行猶予」付きの判決を求めていきます。刑務所に行くことが避けられないにしても、刑期ができるだけ短くなるように本人に有利な事情を集めます。
判決
判決は一般的に、すべての審理が終わった日の翌週に出されます。判決の内容が「執行猶予」(刑務所には行かずに、猶予期間に犯罪をしないで過ごせば刑務所に行かなくてすむこと)である場合、判決が言い渡されたら家に帰ることができます。執行猶予のつかない実刑判決が出ると、刑務所に行かなければなりません。
傷害事件の執行猶予率は、約61%です。

簡単ではありますが、逮捕されてから判決までの流れを説明しました。さらに詳しいことを知りたいときには、ご気軽にご相談ください。

3 示談

タイムリミット

傷害事件において、被害者と示談するということは非常に大切です。示談が成立すれば、不起訴や執行猶予付き判決にグッと近づきます。ご家族にとっては、本人が裁判にかけられたり、前科持ちになったりすることをできるだけ避けたいと思います。そのためには、起訴される前に被害者と示談をして、不起訴処分を勝ち取らなければなりません。起訴されるまでの長くても約20日しかありません。つまり、不起訴を勝ち取るためのタイムリミットは約20日しかありません。起訴された後に示談が成立しても、裁判は受けないといけませんし、前科持ちになることは、ほぼ避けられません。この点は誤解しないよう気をつけてください。

示談と被害弁償の違い

示談と似た意味で「被害弁償」という言葉があります。示談と被害弁償を区別せずに使われることがあります。しかし、当事務所では、示談と被害弁償は明確に区別して使っています。示談と被害弁償の区別は、次のとおりです。

お金の支払被害者の許し
示談
被害弁償×

つまり、被害者が本人を許してくれるかどうかで、示談と被害弁償を区別しています。当然、示談の方が不起訴を勝ち取るためにはより効果があります。

示談成立までの流れ

示談成立までの流れを簡単に説明します。

被害者の連絡先の入手
被害者の連絡先がわからない場合は、検察官を通じて、被害者の連絡先を入手します。連絡先を知らせるのは弁護士限りという条件を付けられることが多いです。
被害者に連絡を入れる
連絡先を入手したら、すぐに被害者に連絡を入れます。弁護士と直接会ってもらえるように被害者にお願いします。
被害者と直接会って交渉
被害者が希望する場所で待合せます。ご家族の同席がOKな場合は、ご家族も一緒に行きます。本人の謝罪文を読んでもらうなどこちらの誠意を伝えます。
示談金の支払と示談書の作成
被害者が本人の反省を認めて、示談金の額に納得いく場合には、その場で示談金の支払と示談書を作成します。
検察官に示談書の提出
示談が成立したことを検察官に伝えて、示談書をFAXします。検察官は被害者に連絡して、この示談が真意に基づくものかを確認します。

被害者がどうしても許してくれない場合には、示談ではなく被害弁償だけで済ませる場合があります。示談できない場合に、被害弁償だけでもするかどうかは、ご本人やご家族と事前に決めておきます。

4 弁護士費用

傷害事件を当事務所に依頼する場合の弁護士費用は、以下のとおりです。

着手金報酬金
初回接見のみ54,000円なし
認めている事件324,000円324,000円
無罪を求める事件540,000円〜540,000円〜
保釈請求108,000円108,000円