はじめに

覚醒剤事件を特化して扱っている弁護士が、覚醒剤とは何か、覚醒剤が身体に与える影響について、できるだけわかりやすく説明していきます。

覚醒剤とは?

まず、そもそも覚醒剤とはなんでしょうか? その定義は法律によって定められています。

覚せい剤取締法2条によりますと、覚醒剤とは、フェニルアミノプロパンとその塩類、フェニルメチルアミノプロパンとその塩類と定められています。フェニルアミノプロパンは、一般的にはアンフェタミンと呼ばれています。他方、フェニルメチルアミノプロパンは、一般的にはメタンフェタミンと呼ばれています。
日本で乱用されるのは、メタンフェタミンが主流です。

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法律が覚醒剤(覚せい剤)をどのように定めているか?は「覚醒剤(覚せい剤)とは何か?」をご覧ください。

覚醒剤が身体に与える変化

次に、覚醒剤を体内に入れると、身体にはどのような変化が生じるでしょうか?

覚醒剤の効果

覚醒剤は、中枢神経系(脳や脊髄)を興奮させる作用があります。そして、一般的には、覚醒剤を体内に入れると、以下のような変化が生じます。

  • 疲れがとれる
  • 自信がもてる
  • 頭が冴える
  • やる気がでる
  • 食欲がなくなる
  • 性欲が高まる

しかし、この変化は数時間でなくなり、疲労感やだるさが生まれ、動くことすら億劫になります。

中毒と依存

覚醒剤にはどのような危険があるでしょうか? 最後に,覚醒剤の危険性について説明します。

大きく分けて、覚醒剤中毒と覚醒剤依存という危険があります。急性中毒、依存、慢性中毒の順に説明していきます。

急性中毒

覚醒剤を20mg以上体内に入れると急性中毒になることがあります。その症状として、以下のものがあります。

  • 口数が増える
  • 落ち着きがなくなり動き回る
  • 意味のない行為を反復する(常同行為)
  • 眠たくなくなる
  • 錯乱する(せん妄状態)
  • 死亡

依存

覚醒剤を繰り返し体内に入れることで、覚醒剤に対する強い欲求(渇望)が生まれます。そして、覚醒剤は耐性ができやすく、繰り返し体内に入れることで中枢神経系の興奮作用は弱まります。同じような作用を求めるために、覚醒剤の量や回数が増えます。その結果、覚醒剤に対する渇望を自分ではコントロールできない状態になります。このような状態を精神依存といいます。

他方、依存には身体依存というものもあります。身体依存とは、アルコールや薬物などの物質が身体にある状態が通常となり、それらの物質が抜けると離脱症状が生じる状態のことをいいます。覚醒剤には、身体依存はありません。

覚醒剤依存は、回復することはあっても、完治することはないと言われています。

慢性中毒

覚醒剤依存になり、さらに繰り返し覚醒剤を体内に入れることで、慢性中毒になることがあります。覚醒剤をどの程度繰り返し使用すると慢性中毒になるかは個人差があります。

覚醒剤の慢性中毒の代表例が、覚醒剤精神病です。覚醒剤精神病は、警察や暴力団に狙われているという妄想や幻覚(幻聴)を主症状とします。そして、周囲を警戒するようになったり、攻撃的になったりします。

覚醒剤精神病は、適切な治療を受けることで、多くの場合は治まります。この点は、覚醒剤依存とは違うところです。

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参考文献・参考サイト

  1. 井上堯子・田中謙「改訂版 覚せい剤Q&A 捜査官のための化学ガイド」(東京法令出版 2008年12月)
  2. 山下格「精神医学ハンドブック第7版 医学・保健・福祉の基礎知識」(日本評論社 2010年10月)
  3. 再乱用防止資料編集委員会「ご家族の薬物問題でお困りの方へ」(厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 2018年2月)
  4. 脳科学辞典(最終閲覧日 2018年8月16日)