保護観察とは?

保護観察とは、犯罪や非行をした人が立ち直れるように、社会の中で、一定期間、法律で決められた約束を守らせたり(指導監督)、自立した生活を送れるように助けたり(補導援護)することをいいます(更生保護法49条)。

保護観察の対象者

どのような人が保護観察の対象となるのでしょうか? 更生保護法には4つのタイプを定めています(更生保護法48条)。

  1. 少年審判で保護処分とされた少年(保護観察処分少年、1号観察)
  2. 少年院から仮退院された人(少年院仮退院者、2号観察)
  3. 仮釈放された人(仮釈放者、3号観察)
  4. 刑事裁判で保護観察付き執行猶予になった人(保護観察付執行猶予者、4号観察)

1号観察と4号観察は、裁判所が保護観察にする必要があると考えた場合に保護観察となります(任意的保護観察と呼びます)。ただし、4号観察については薬物事件について一部執行猶予となったときには法律上必ず保護観察になります。

他方、2号観察と3号観察は、仮退院または仮釈放になった場合、法律上必ず保護観察となります(必要的保護観察と呼びます)。

2017年末の時点で保護観察中の人は、全体で3万770人です。1号観察から4号観察の人数は、次の図のとおりです。

保護観察の期間

保護観察はいったいどれぐらいの期間続くのでしょうか? これも1号観察から4号観察で違うので、それぞれみていきます。

保護観察処分少年(1号観察)の期間

原則として20歳まで(18歳以上だと2年間)(更生保護法66条)。ただし、保護観察所が経過良好として保護観察を継続する必要がないと判断すると、保護観察が解除されて終了します(保護観察の解除、更生保護法69条)。

1号観察には、一般保護観察と交通保護観察があり、それぞれに短期保護観察、交通短期保護観察があります(ここでは交通保護観察についての説明は省略します)。

一般保護観察の場合、2017年のデータによると、約66%が保護観察の解除で終了しています。そのうちの約半数が1年から1年3か月で解除されています。

短期保護観察は、同じく2017年のデータによると、約89%が保護観察の解除で終了しています。そのうちの約85%が7か月または8か月で解除されています。

少年院仮退院者(2号観察)の期間

原則として20歳までです。保護観察の期間については、1号観察のように、保護観察の期間についてどこかに集中しているということはなく、ケース・バイ・ケースです。

仮釈放者(3号観察)の期間

3号観察の場合は、残りの刑期が保護観察の期間となります。例えば、懲役1年6か月の人が、刑務所の中で1年2か月過ごして仮釈放された場合、保護観察の期間は残りの4か月となります。

保護観察付執行猶予者(4号観察)の期間

4号観察の場合は、裁判所が設定した期間が保護観察の期間となります。法律上は最大で5年間です(刑法25条など)。

保護観察の担当者

保護観察の対象者はすでに説明しました。では、その対象者に対して実際に保護観察をするのは誰でしょうか? それは、「保護観察官」と「保護司」です。保護観察官と保護司がペアを組んで保護観察にあたるのが基本的な形です。
では、保護観察官と保護司がどういう人たちなのかをみていきます。

保護観察官とは?

保護観察官は、国家公務員です。保護観察官は、医学、心理学、教育学、社会学などの専門的知識をもっている、犯罪や非行した人の立ち直りについての専門家です(更生保護法31条)。その名のとおり、保護観察がメインの仕事です。全国に約1000人います。

保護司とは?

保護司とは、保護観察官を補助する役割をもつ、無償の民間ボランティアです(更生保護法32条)。地域の民生委員・児童委員が同時に保護司であることも多いです。全国に約4万8000人います。

役割分担

保護観察官は、保護観察の実施計画を作り、保護司はその計画に沿って保護観察中の人と毎月面談をします。

面談の頻度は月2回前後で、保護司の自宅などで行われます。保護司は面談の際に、保護観察中の人の近況を聞いて、後で説明する約束事がちゃんと守られているかを確認したり、日常生活のアドバイスをしたり、相談を受けたりします。

保護司は月に1回、保護観察の報告書を作って保護観察官に提出します。

すでに説明したように、2017年末で約3万人が保護観察を受けていて、全国で保護観察官は約1000人しかいません。単純計算で保護観察官は1人で30件の保護観察を担当しないといけません。保護観察官が毎月30人の保護観察中の人と会うのは無理があります。そのため、保護観察の現実の担当者は保護司ということになります。

保護観察の方法

保護観察は、犯罪や非行をした人の立ち直りを目的としています。しかし、保護観察は強制的なものであり、さまざまな約束事があります。この約束事をやぶった場合には、仮釈放が取り消されて再び刑務所に戻らなければならなくなったり、執行猶予が取り消されて刑務所に行かなければならなくなったりするので注意が必要です。

この約束事には2種類あります。1つ目は「一般遵守事項」といって、保護観察を受ける人全員が守らなければならない約束事で、法律で決められています。2つ目は「特別遵守事項」といって、立ち直りのために特別に必要な場合に、個別具体的に定められる約束事です。
それでは、一般遵守事項と特別遵守事項について、説明していきます。

一般遵守事項とは?

一般遵守事項は、先ほど説明したように、保護観察の対象者全員が守らなければならない約束事です(更生保護法50条)。法律に定められている一般遵守事項は、次のとおりです。

  1. 再び犯罪をすることがないよう、または非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること。
  2. 次のことを守り、保護観察官と保護司による指導監督を誠実に受けること。
    1. 保護観察官か保護司の呼出し・訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること。
    2. 保護観察官か保護司から、労働・通学の状況、収入・支出の状況、家庭環境、交友関係その他の生活の実態を示す事実を明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実について話したり、その事実に関する資料を提示すること。
  3. すぐに住居を決めて、そのことを保護観察所に知らせること。
  4. 3.で決めた住居にに住むこと。
  5. 転居や7日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること。

保護観察になったときに、この一般遵守事項の書かれた紙が渡されます。

特別遵守事項とは?

特別遵守事項は、下の7つについて、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定めるものとされています(更生保護法51条)。

1号観察と4号観察については、保護観察処分や保護観察付き執行猶予とした裁判所の意見の範囲内で決められます。他方、2号観察と3号観察は、仮釈放や仮退院を決めた地方更生保護委員会の意見を考慮して決められます。

  1. 犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪または非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。
  2. 労働に従事すること、通学することその他の再び犯罪をすることがなくまたは非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、または継続すること。
  3. 7日未満の旅行、離職、身分関係の異動その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上または身分上の特定の事項について、緊急の場合を除き、あらかじめ、保護観察官か保護司に知らせること。
  4. 医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること。
  5. 法務大臣が指定する施設、保護観察対象者を監護すべき者の居宅その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること。
  6. 善良な社会の一員としての意識の涵養と規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を一定の時間行うこと。
  7. その他指導監督を行うため特に必要な事項

この中で、4から6は読んだだけではよくわからないと思います。4は専門のプログラムのことで、性犯罪、薬物再乱用防止、暴力防止、飲酒運転防止の4種類あります。5は更生保護施設や自立準備ホームなどで一定期間泊まって指導を受けることを指します。6は、清掃活動などの地域でのボランティア・社会貢献活動のことです。

一般遵守事項と同じく、特別遵守事項が書かれた紙を渡されます。

注意点

大人の刑事事件において、保護観察付きの執行猶予になるということは、実刑(刑務所行き)にもなった可能性もあったことを意味します。

そして、執行猶予であるからといって、本人の反省や意欲、家族などの周りの人々の支えだけでは、立ち直りは難しいと判断されたともいえます。

保護観察期間は、実刑であった場合に刑務所に入っている期間より長いので、刑務所に入るよりマシであっても、不自由な生活は長くなります。

さらに、すでに説明したように、遵守事項を守らなかった場合、仮釈放や執行猶予が取り消されることもあります。