男性が後ろ手で手錠をかけられている写真

はじめに

覚せい剤の使用や所持が警察に発覚すると、ほとんどの場合、逮捕されます。逮捕された後に、長期間の拘束である「勾留」がなされると、短くても10日間は警察署の留置施設から出ることはできません。
勾留の期間はいったいどれぐらい続くのでしょうか? 覚せい剤取締法違反事件の場合は、数か月に及ぶことが少なくありません。ここでは、法律の規定と統計データに基づいて、弁護士が勾留の期間について解説します。
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勾留は避けられないこと

覚せい剤の使用や所持で警察に捕まった場合、「勾留」と呼ばれる身体の拘束はほぼ避けられません。それは、検察庁が公表している統計からも明らかです。図1の円グラフは、2017年の覚せい剤事件の勾留率を示すものです。11450件のうち31件しか勾留請求が却下されていません。つまり、勾留率はほぼ100%ですので、ほぼ勾留が避けられないことがわかります。

図1覚せい剤取締法違反被疑事件の勾留率の円グラフ

図1 覚せい剤取締法違反被疑事件の勾留率(2017年検察統計17-00-41より)

起訴される前の勾留期間

では、本題の勾留期間に話題を移します。勾留には、起訴される前の勾留(起訴前勾留、被疑者勾留といいます)と起訴された後の勾留(起訴後勾留、被告人勾留といいます)があります。
まず、起訴前勾留について説明します。起訴前勾留は、刑事訴訟法という法律で、最大20日と定めています(刑事訴訟法208条)。図2の円グラフは、2017年の覚せい剤取締法違反事件の起訴前勾留を期間別で示したものです。勾留期間が5日以内が20件(0%)、10日以内が4605件(40%)、15日以内464件(4%)、20日以内6328件(56%)です。16日〜20日が半数以上であることがわかります。

図2覚せい剤取締法違反被疑事件の勾留期間の期間別割合の円グラフ

図2 覚せい剤取締法違反被疑事件の勾留期間の期間別割合(2017年検察統計17-00-42)


先ほど、起訴前勾留は最大20日と書きました。しかし、覚せい剤の使用で勾留された後に、一瞬釈放して、すぐに覚せい剤の所持で逮捕されると(このような逮捕を一般的に再逮捕といいます)、覚せい剤の使用と所持で合計最大40日間勾留されることがあります。この点、勘違いしないでください。

起訴された後の勾留期間

次に、起訴された後の勾留について説明します。起訴後勾留の期間は2か月です(刑事訴訟法60条2項)。ただし、更新によって1か月延長できます。覚せい剤取締法違反事件の場合は、この更新の回数は無制限です。したがって、半年や1年以上勾留されることもあり得ます。
もっとも、覚せい剤の使用や所持について素直に認めている場合には、更新されずに2か月で判決が出ることは少なくありません。図3は、2017年の覚醒剤取締法違反事件における起訴後勾留の期間別の円グラフです。15日以内20%、1か月以内7%、2か月以内37%、3か月以内22%、6か月以内9%、1年以内4%、1年を超えるものが1%です。このように、3か月以内(つまり、更新1回以内)で合計81%になります。なお、1か月以内が合計27%あるのは、その多くは保釈によって釈放された場合と考えられます。

図3覚せい剤取締法違反被告事件の勾留期間の期間別割合の円グラフ

図3 覚せい剤取締法違反被告事件の勾留期間の期間別割合(2017年司法統計32より)

まとめ

以上の説明をまとめると、次のようになります。多くの場合、起訴前勾留の期間は10日から20日で、起訴後勾留は保釈されない限り、2か月から3か月になります。争いのない覚せい剤取締法違反事件は判決までいきますので、全体としては勾留期間は3か月から4か月となります。