はじめに




勾留の期間
勾留とは、裁判所または裁判官が、犯罪をしたと疑われている人の身体を拘束することです。最大3日間の身体拘束である逮捕とは異なって、勾留は少なくとも10日間の長期間に渡ります。
勾留されるかどうかの要件について詳しく知りたい方は、「勾留の要件」をご覧ください。
10日間も勾留されると、その間、職場や学校を休まなければならなくなり、会社をクビになったり、大事な取引をすっぽかして信用を失ったり、定期試験を受けられなくなったりするなど、生活に不利益が生じてしまうおそれがあります。ですので、勾留がどれぐらい続くのかは、本人だけではなく、家族も心配になると思います。そこで、ここでは、勾留の期間はどれぐらいなのかを、法律の規定と統計データに基づいて解説します。
勾留の種類
勾留には、起訴される前の勾留(起訴前勾留、被疑者勾留といいます)と起訴された後の勾留(起訴後勾留、被告人勾留といいます)の2種類あります。勾留の期間は、起訴前の方が短く、起訴後の方が長くなります。
起訴前の勾留
法律の規定
起訴前の勾留については、刑事訴訟法208条が次のように定めています。
第208条 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
2 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。
つまり、起訴前の勾留は、10日間+10日間で最大20日間となります。
勾留の満期はいつ?






統計データ
図1は、2017年の起訴前の勾留の期間別のデータを円グラフにしたものです。

この統計によると、勾留の期間が5日以内が1%、10日以内が35%、15日以内が5%、20日以内が59%となっています。このように、勾留期間が16日以上20日以内が最多で、全体の約6割を占めています。したがって、起訴前の勾留は、20日間になると考えておいた方がよいでしょう。
起訴後の勾留
法律の規定
起訴後勾留の期間については、刑事訴訟法60条2項が次のように定めています。
第60条2項 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から2箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、1箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第89条第1号、第3号、第4号又は第6号にあたる場合を除いては、更新は、1回に限るものとする。
第345条 無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却(第338条第4号による場合を除く。)、罰金又は科料の裁判の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。
つまり、起訴後の勾留は、2か月以上ということになります。しかし、刑事訴訟法345条によって、執行猶予付きや罰金刑などの判決が出た場合には、2か月以内に釈放されます。
統計データ
図2は、2017年の起訴後の勾留の期間別のデータを円グラフにしたものです。

この統計によると、起訴後の勾留期間は、15日以内が17%、1か月以内が6%、2か月以内が35%、3か月以内が21%、6か月以内が14%、1年以内が6%、1年を超えるものが1%となっています。
なお、1か月以内が23%ありますが、このほとんどが保釈が認められただと考えられます。
勾留期間を短くする方法


勾留の期間を短くする方法について詳しく知りたい方は、「勾留期間を短くする方法は?「準抗告」編」と「勾留期間を短くする方法は?「勾留取消し」編」をご覧ください。